ひと昔前まで、会社のWebサイトは「会社案内が載っていれば十分」という存在でした。名刺にURLが書いてあり、興味を持った人があとで見る。そんな位置づけです。
しかし今は状況がまったく違います。
問い合わせフォームは営業の入口になり、採用ページは応募の起点になり、場合によってはWebサイトそのものがサービス提供の窓口になっています。つまり、Webサイトが見られない状態は、そのまま仕事が止まることを意味します。
そういったなか、「特別なことはしていないのに、突然サイトが重くなる」「理由が分からないまま表示されなくなる」といった相談は、年々増えています。
理由もなく狙われる、という現実
こうしたトラブルの背景にあるのが、近年増え続けている大規模なアクセス妨害です。特定の企業を狙った嫌がらせというよりも、無差別に大量の通信を送りつけるような攻撃が目立つようになりました。
重要なのは、「有名企業だから狙われる」という時代ではなくなっている点です。規模の小さな会社や、特別な情報を扱っていないWebサイトでも、ある日突然影響を受ける可能性があります。攻撃する側にとっては、相手が誰かはあまり重要ではなく、「攻撃できそうな場所」であるかどうかが判断基準になっているからです。
Webサイトが止まると、想像以上に影響が広がる
Webサイトが一時的に見られなくなるだけなら、大した問題ではないと思われがちです。しかし実際には、影響は静かに、しかし確実に広がります。
問い合わせが届かない、応募が完了しない、サービスの説明を見てもらえない。こうした機会損失は数字として見えにくいため、あとから振り返って初めて気づくことが多いのが特徴です。さらに厄介なのは、「何が起きているのか分からない」という不安が社内に広がることです。
サーバー会社に連絡しても「特に障害は出ていません」と言われ、社内でも原因が分からない。復旧を待つしかない時間は、想像以上に長く感じられます。
サーバーだけに任せる守り方の限界
多くの企業では、レンタルサーバーやクラウドサーバーを使っています。それ自体は間違いではありませんし、基本的なセキュリティ対策も施されています。
ただ、最近の攻撃は圧倒的な「量」で押し寄せてくるものが増えています。世界中から一斉に大量の通信が送られてくるため、サーバーが正常な処理をする前に限界を迎えてしまうのです。この段階になると、いくらサーバー側で対策をしていても、そもそも処理が追いつきません。
つまり、サーバーに到達してから守るのでは遅く、もっと手前で対策をする必要が出てきています。
「入口で守る」という考え方
ここで注目されているのが、Webサイトの“入口”で通信を整理するという発想です。
世界中からのアクセスを一度受け止め、正常な利用者とそうでないものを自動的に振り分ける。怪しい動きはそこで止め、正当なアクセスだけをサーバーに届ける仕組みです。
この方法の大きな利点は、サーバーそのものを守れる点にあります。
過剰な負荷がかかる前に防げるため、サイトが落ちるリスクを大きく下げることができます。また、管理者が常に監視し続ける必要がなく、日常業務に集中できるのも現実的なメリットです。
中小企業に必要なのは「頑張らなくても守れる仕組み」
理想論としては、専門の担当者を置き、常に監視を行うのが最も安全かもしれません。しかし中小企業にとって、それは現実的とは言えません。
だからこそ重要になるのが、専門知識がなくても使え、日常的な運用の手間が増えない仕組みです。
人の注意力や経験に頼るのではなく、仕組みとして淡々と守ってくれること。これが、これからのWeb運用に求められている考え方です。
すでに「守り方」を変えている企業は少なくない
最近では、自社だけで完結させる守り方から一歩進み、外部の大規模な防御基盤を活用する企業が増えています。攻撃が世界規模で行われる以上、防御も同じスケールで考えなければ追いつかない、という判断です。
これは特別な先進企業の話ではなく、Webサイトを安定して運用したいという、ごく当たり前の判断とも言えます。
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おわりに
Webセキュリティという言葉には、難しそうで専門的な印象があります。しかし本質はとてもシンプルで、「Webサイトを止めないためにどうするか」という話です。
トラブルが起きてから慌てるのではなく、何も起きていない平常時に、静かに守ってくれる仕組みを用意しておく。その差が、いざという時の安心感につながります。
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