「ランサムウェアは大企業の話」と思っていませんか?
実際には、多くの中小企業がサイバー攻撃のターゲットになっています。しかもその数は年々増加傾向にあり、セキュリティ対策が十分でない企業は深刻な被害を受けています。
本記事では、「なぜ中小企業が狙われるのか?」という理由とともに、限られたリソースでも実践できる5つの対策を具体的に解説します。
中小企業がランサムウェア攻撃に狙われる5つの理由
セキュリティ体制が比較的甘く、攻撃者にとって入りやすい
多くの中小企業では、情報システム部門が兼任だったり、外部業者任せにしていたりと、セキュリティの専門知識が不足していることが珍しくありません。結果として、ウイルス対策ソフトだけで対処しているケースも多く、攻撃者にとっては侵入しやすい環境となってしまいます。
ソフトウェアやOSが古く、脆弱性が放置されがち
中小企業では、サーバーやPCのリプレースサイクルが長く、サポートが終了したOSや機器が使われていることがあります。Windows 7、古いNAS、未更新のルーターなど、脆弱性が放置されたままの環境はランサムウェアにとって“絶好の入り口”です。
従業員へのセキュリティ教育が不足している
攻撃の多くは、フィッシングメールや悪質な添付ファイルの開封を通じて始まります。メールの文面やファイルの名前を巧妙に偽装されたら、従業員が誤って開いてしまう可能性は高く、ヒューマンエラーが感染のきっかけになることも多いです。
大企業のサプライチェーンを狙う“踏み台”にされる
中小企業は、大企業と比べるとセキュリティが弱く、なおかつ大企業との取引先であることも多いため、攻撃者にとってはサプライチェーンの“穴”となります。最終的な標的は大手企業でも、最初の侵入口として中小企業が使われることが増えています。
被害に気づかず、対応が遅れる
EDR(Endpoint Detection and Response)などのセキュリティ製品を導入していても、それを監視・運用する人がいなければ機能しません。中小企業ではアラートを見逃したり、初動対応が遅れて被害が広がるケースも多く見られます。
中小企業が今すぐ実行すべき5つのランサムウェア対策
対策①|重要データの定期バックアップとオフライン保存
「バックアップがあるかどうか」が、ランサムウェアからの復旧を左右します。特に、バックアップ先がオンライン接続されていると、ランサムウェアがそれ自体を暗号化してしまう危険性があるため、隔離保存が鉄則です。
- 社内データは週1回以上バックアップ
- バックアップ先は社内ネットワークから隔離(外付けHDDやクラウド)
- 定期的に復元テストを実施
対策②|従業員へのセキュリティ意識の定期教育
月1回程度の短時間eラーニングや、年2回のフィッシング訓練で十分効果があります。内容は難しくなくてOKです。フィッシングメールを受け取った時「あれ、これおかしいな」と感じられるようになることが肝要です。
教育を継続することで、ヒューマンエラーによる感染を大幅に減らせます。
- 不審なメールの特徴とは?
- ZIPファイル付きのメールを開く前に確認すべきこと
- 怪しいサイトを開いたときの対処法
IPA(情報処理推進機構)からも教育教材が出ていますので、ぜひ従業員教育の参考としてください。
対策③|OS・ソフトウェア・機器のアップデート徹底
サイバー攻撃の大半は、既知の脆弱性を悪用したものです。
- Windows Updateを自動に設定
- NASやルーターなどネットワーク機器も定期チェック
- サポートが切れたソフト・OSはできるだけ早く更新
「特に使っていない機器」が実は最大のリスクになっていることもあるので注意です。
対策④|パスワード強化+多要素認証(MFA)
ありがちな、簡単なパスワードが未だに使われていることも多々あります。全社で強固なパスワードポリシーの設定とMFAの導入を進めましょう。
- パスワードは10文字以上+英数字記号を組み合わせ
- Google AuthenticatorやSMS認証などの多要素認証(MFA)で保護
これらは、クラウドサービスや社外アクセスがある場合は、必須レベルの対策です。
対策⑤|中小企業向けセキュリティ製品の活用
最近では、中小企業向けに設計された低コストのEDRやUTM(統合脅威管理)製品も登場しています。導入時は、以下のポイントに注意しましょう。「機械を入れて満足」ではなく、どう運用するかが鍵です。
- 製品導入だけでなく検知に対してアクションを起こすための「監視・運用」体制も一緒に整備
- 外部のマネージドサービスプロバイダーに委託するのも選択肢
まとめ|今すぐできる対策から始めよう
中小企業がランサムウェアに狙われるリスクは、年々高まっています。しかし、すべての企業が高額なセキュリティ投資をする必要はありません。
まずは以下の3ステップから始めてみてください。
- 重要データのバックアップを隔離保存
- 社員に「怪しいメールに注意」と周知する
- パソコンやルーターのアップデートを確認
これらの小さな対策の積み重ねが、企業の存続を左右する大きな防御壁になります。「うちは小規模だから…」と油断せず、今できることをひとつずつ実行していきましょう。
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