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SEが必ず読むべき『考える技術・書く技術』|論理力が仕事を変える一冊

ピラミッド システムエンジニア話題

システムエンジニア(SE)の仕事は、単にプログラムを書くことやシステムを設計することだけではありません。むしろ本質的には、「課題を正確にとらえ、それに対して筋道の通った提案を構築し、関係者を納得させる」という思考とコミュニケーションの仕事であると私は考えています。

このスキルを体系的に学べる一冊として、私が強く推薦したいのがバーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』です。

ビジネス書の古典にして、今なお現場の説得力と実践力を鍛えてくれる“ロジカル思考の教科書”とも言える本書。特にSEという職種において、この本が提供する思考プロセスは極めて有効です。

「考える技術・書く技術」とは何か?

本書はもともと、マッキンゼー社内の研修資料から生まれたもので、論理的に物事を考え、相手に伝えるための構造化思考を体系化したものです。

いまやロジカル・シンキングの書物はたくさんありますが、本書はその原点ともいえる書籍です。本書で説明される技術の中核にあるのは、「ピラミッド構造(Pyramid Principle)」と呼ばれる論理の組み立て方です。

ピラミッド構造の基本

情報の読み手は、頭の中で理解度を深めるために、情報を自動的にピラミッドの形にグループ化して並び替えています。そのため、事前に与える情報もピラミッド型に整理されていれば、理解するのは格段に簡単になる、という考え方に基づきます。

情報を与えるとき、以下のような点をチェックしてピラミッド型の論理構成になるようにします。

  • 結論 → 理由 → 具体例 の順で構成する
  • 情報は意味ごとにグルーピングする
  • 上位のメッセージが、下位の複数の主張から導かれるように構成する

この原則に沿うことで、情報の整理、説得力のある文章・プレゼンテーション、チーム内外の合意形成が飛躍的にわかりやすく・強力になります。

なぜSEにとってこの技術が重要なのか?

では、なぜSEにとってこの本が“設計書やコードの教科書”よりも重要とすら言えるのでしょうか。以下にその理由を掘り下げます。

提案・要件定義フェーズでの「論理展開力」

SEの上流工程、特に提案書や要件定義の作成では、相手のニーズを整理し、それにどう応えるかを明快に伝える力が求められます。

ここで有効なのが、「考える技術・書く技術」で学べる論理構成です。この構成をマスターすれば、相手に「だから、やるべきだ」と直感的に伝わる説明が作れるようになります。

技術的議論の可視化と説得力

設計書や仕様書、コードレビューでも、SEは自分の設計意図や判断根拠を他者に説明する場面が多々あります。そのときに「感覚」で話していては、相手に伝わりません。

バーバラ・ミント式に構造化すると、どこにどんな前提があり、どうしてその判断に至ったのかを図式的に整理でき、エンジニア同士の“共通言語”にもなります。

チーム内・社外とのコミュニケーション強化

SEはチームのハブであり、営業・企画・ユーザー・開発者など、異なる立場の人たちと多くの会話をします。

その中で大切なのは、「誤解なく、的確に伝え、納得を得る」ことです。

仕事をしていても「つまり、何が言いたいんだろう・・・」と主張がよくわからない会話に出くわすことが、たまにあります。こうしたことが防げますね!

本書の技術を使えば、報告書、議事録、プレゼン資料といった文書においても、簡潔で明快な伝達ができるようになります

バーバラ・ミントの技術をSEがどう実践すべきか?

具体的にSEとしてこの本の考え方をどう活かすか、いくつか実践的なポイントを紹介します。

メモ・設計書に「結論から書く」習慣をつける

会話や資料でも「まず結論を伝える」。その後に理由や根拠を書く。それだけで驚くほど伝わりやすくなります。

図解をピラミッド型で設計する

設計資料においても、階層化された図を用いることで、全体構造と詳細情報の両方を把握しやすくなります。たとえば「トップレベルの機能」「その下のサブ機能」「実装の構成要素」と分けて説明すると効果的です。

チームレビューに“論理構成チェック”を取り入れる

レビューでは、仕様や実装の「整合性」「説得力」を確認する際に、論理の構造が破綻していないかを意識的に見ると、ただのバグチェックではない「品質を高めるレビュー」に進化します。

まとめ:SEは「書ける技術者」になるべき

「考える技術・書く技術」は、一見するとビジネスパーソンやコンサルタント向けの書籍に思えるかもしれません。しかし、本質的にはあらゆるプロフェッショナルが使うべき“考え方の武器”です。

特にSEにおいては、「複雑な問題を構造化し、関係者と共有・合意形成する」という能力が、コーディングスキルと同等、あるいはそれ以上に求められる場面が年々増えています。

思考に構造を、構造に説得力を。それを手に入れるのが、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」です。

この一冊を、自分の“仕事の型”に取り入れてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。当ブログは日常のICTの困りごとを解決するためのノウハウを発信しているサイトです。トップページもご覧ください。

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