クラウドエンジニアの多くは、まず AWS(Amazon Web Services) を学び、そこからスキルを広げていくことが多いでしょう。
しかし近年は、 Google Cloud(GCP) を導入する企業も増えており、「AWS は触ったことがあるけど、GCP はまだ…」という方も少なくありません。
本記事では、AWS の基本的なアーキテクチャをベースに、Google Cloud のサービスを対応表で整理します。AWS の経験がある方がスムーズに Google Cloud を理解できるようにまとめました。
AWSとGoogle Cloudの違いを理解するメリット
- マルチクラウド化が進んでいる:一つのクラウドに依存せず、AWS と Google Cloud を使い分ける企業が増加中
- キャリアの強みになる:AWS だけでなく Google Cloud の知識もあると採用市場で有利
- プロジェクト参画機会が広がる:Google Workspace や BigQuery など Google Cloud と親和性の高い、特有の強みを活用する案件も増えている
AWS に慣れているエンジニアが Google Cloud を学ぶ際は、「AWS のどのサービスに対応するか」を意識すると習得が早まると思います。
AWSとGoogle Cloudの代表的なサービス対応表
いまや、各クラウドサービスで提供するサービス・リソースは膨大な種類となっていますので、何を比べるか定めないとわかりにくくなってしまいます。いったん対象範囲を絞りたいと思います。

図は、シンプルなAWSによる高可用性Webアプリ向けアーキテクチャの構成を示しています。いったんこの範囲を例として、以下に機能の対応表を整理します。
機能/要素 | AWSの場合 | Google Cloudの場合 |
---|---|---|
DNS 管理 | Route 53 | Cloud DNS |
リージョン/ゾーン | Region / AZ( Availability Zone ) | Region / Zone |
ネットワーク境界 | VPC | VPC |
ルーティング | Route Table | Routes |
インターネットアクセス | Internet Gateway | Internet Gateway(自動で付属) |
ロードバランサ | Elastic Load Balancing (ELB) | Cloud Load Balancing |
スケーリング | Auto Scaling Groups | Managed Instance Groups (MIGs) |
仮想サーバ | EC2 | Compute Engine VM |
データベース(RDB) | RDS (Multi-AZ) | Cloud SQL (HA 構成) |
AWS構成をGoogle Cloudに置き換えるとどうなった?
図では、以下のような AWS 構成を想定しました。
- Route 53 で DNS 解決
- VPC 内にパブリック / プライベートサブネットを構築
- ELB + Auto Scaling Group でアプリ向けVMをスケーリング
- RDSを Multi-AZ で冗長化
これを Google Cloud に置き換えると、次のようになりました。
- Cloud DNS が Route 53 の役割
- Cloud Load Balancing がトラフィックを分散(グローバル対応してくれることが特徴)
- Compute Engine + Managed Instance Groups が オートスケール に対応
- Cloud SQL (HA 構成) で 冗長化されたRDS の代替
AWSとGoogle Cloudの違いと注意点
共通点
- VPC、サブネット、ロードバランサ、スケーリング、DB 冗長化といった基本思想は同じ
- AWS の経験者なら、サービス名さえ押さえれば理解は容易
違い
- Cloud Load Balancing はグローバル対応:1つのLBで世界中のトラフィックを捌ける(AWS の ALB/NLB はリージョン単位)
- Cloud SQL は Aurora のような分散型DBではない:よりスケールさせたいなら AlloyDBやCloud Spanner を検討
- Google Cloudの場合インターネットゲートウェイは自動付属:AWS のように明示的に作らなくて良い
学習の第一歩:おすすめの進め方
AWS を知っているエンジニアが Google Cloud を学ぶなら、次のステップが効率的です。
1.サービス対応表を頭に入れる
2.Compute Engine + Cloud SQL で小さなWebアプリを構築 → まずはEC2+RDSを置き換える感覚で。
3.Cloud Load Balancing + Managed Instance Groups を追加 → Auto Scaling を再現してスケールアウトを体験。
4.GCP 特有のサービスに触れてみる(BigQuery, Cloud Spannerなど) → AWSにはないGoogle Cloudの違いを実感できる。
まとめ
AWS と Google Cloud は基本概念は似ているため、対応表を覚えれば移行はスムーズです。
まずは、Cloud DNS / Cloud Load Balancing / Compute Engine / Cloud SQL を最初に触り始めて、 Google Cloud 特有のグローバルLBや BigQuery などに触れることで理解が進み、マルチクラウドエンジニアとしての強みが広がるでしょう。
AWS一強だったクラウドサービス市場も、最近はGoogle含む他クラウドが追い上げを見せています。この機会にGoogle Cloudの勉強を始めてはいかがでしょうか。
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