「PC、前より高くなってない?」と感じたことはありませんか?
数年前まで、そこそこの性能のノートパソコンは10万円前後で購入できました。しかし最近は、同じような用途で使うPCでも15万円前後、場合によってはそれ以上することも珍しくありません。「性能がすごく良くなったわけでもないのに、なぜこんなに高いのだろう」と感じている人も多いのではないでしょうか。
この違和感は気のせいではありません。PCをはじめとしたデジタル機器の価格は、ここ数年で確実に上昇しています。そしてその背景には、私たちの生活とも深く関係する複数の要因が重なっています。
この記事では、なぜPCや部品が高くなっているのか、その影響がどこまで広がっているのか、そして私たちの暮らしにどのような変化をもたらしているのかを、できるだけわかりやすく整理してみたいと思います。
PC価格高騰の最大の原因は「半導体」にある
PCの価格が上がっている最大の理由は、「半導体不足」と言われています。ただ、この言葉だけでは少し抽象的かもしれません。
半導体はほぼすべてのデジタル製品に使われている
半導体と聞くと、PCやスマートフォンを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実際にはそれだけではありません。自動車、家電、ネットワーク機器、医療機器、さらには工場の設備に至るまで、現代社会のあらゆる場所で半導体は使われています。
特に最近は、製品が「賢く」なっています。家電はネットにつながり、車はコンピュータ制御が当たり前になり、身の回りの多くのものがデジタル化されました。その結果、社会全体で必要とされる半導体の量が急激に増えたのです。
需要は急増したが、供給はすぐに増やせない
半導体は、工場を建てればすぐに大量生産できるものではありません。工場の建設には数年単位の時間と、数千億円から兆円規模の投資が必要です。そのため、需要が急に増えても供給がすぐには追いつかないという構造的な問題を抱えています。
この「需要だけが先に膨らんだ状態」が、PCや部品の価格を押し上げる大きな要因になっています。
生成AIブームがPC価格に与えている影響
半導体不足をさらに深刻にしているのが、生成AIの急速な普及です。
AIは大量の計算資源を必要とする
文章生成や画像生成、動画生成といったAIサービスは、裏側で非常に大きな計算処理を行っています。その中心となっているのがGPUと呼ばれる部品です。
本来、GPUはゲームや映像処理のための部品でしたが、AIとの相性が非常に良いことから、現在ではAI用サーバー向けに大量に使われています。その結果、一般向けPCやグラフィックボードに回るGPUが不足し、価格が高止まりする状況が続いています。
AIの発展が一般ユーザーにも影響する時代
生成AIは一部の技術者だけのものではなく、企業活動や社会全体を支える存在になりつつあります。その成長の裏で、一般ユーザーが購入するPCの価格にも影響が出ているという点は、あまり意識されていないかもしれません。
円安と国際情勢も価格上昇に拍車をかけている
日本に住んでいる私たちにとって、もう一つ無視できない要因があります。
円安による輸入コストの増加
PCの主要部品であるCPUやGPU、メモリなどは、ほぼすべて海外で製造され、ドル建てで取引されています。円安が進むと、同じ部品を輸入するだけでも日本円での支払額が増えてしまいます。
その結果、性能がほとんど変わらない製品でも、価格だけが上がるという現象が起きています。
地政学リスクと供給不安
加えて、国際情勢の不安定さも価格に影響しています。特定の地域や国に生産が集中している半導体は、政治的なリスクや紛争、規制の影響を受けやすいという問題があります。
「いつ供給が止まるかわからない」という不安は、企業にとっても消費者にとってもコスト増加の要因となります。
価格高騰はPC以外にも広がっている
PCの値上がりは目立ちやすいですが、実はその影響は私たちの生活のさまざまな場面に広がっています。
家電や自動車への影響
最近、家電や自動車が高くなったと感じる人も多いでしょう。これらも内部には多数の半導体が使われています。特に自動車は電子制御が増えたことで、半導体不足の影響を強く受けています。
2021年ごろから、半導体不足の影響を受けて自動車が作れない、なかなか買えないという時期が長く続きました。半導体メーカーの増産が対応などもあり、自動車向けの半導体不足は解消しつつありましたが、また不足に陥る可能性もあるのではないでしょうか。
クラウドサービスやサブスク料金の上昇
少し気づきにくい影響として、クラウドサービスやサブスクリプション料金の値上げがあります。サーバーやデータセンターも大量の半導体を使っているため、そのコスト増加がサービス料金に反映されるケースが増えています。
私たちの生活はどう変わりつつあるのか
こうした価格高騰は、私たちの行動や価値観にも静かな変化をもたらしています。
PCを「簡単に買い替えない」時代へ
以前は数年ごとにPCを買い替えるのが当たり前でしたが、今は「できるだけ長く使う」意識が強まっています。部品ごとの増設や換装など、今あるPCを活かす工夫をする人も増えています。
クラウドやAIに処理を任せる発想
高性能なPCを個人で用意するのではなく、重い処理はクラウドやAIサービスに任せるという考え方も一般化しつつあります。これはコストを抑えつつ、最新技術を活用する合理的な選択とも言えます。
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まとめ:価格高騰は社会構造の変化そのもの
最近のPCやデジタル機器の価格上昇は、一時的なブームではなく、半導体、AI、為替、国際情勢といった複数の要因が絡み合った構造的な変化です。
この変化は、私たちの生活や仕事のあり方を静かに変えています。だからこそ、背景を知り、賢く付き合っていくことが、これからの時代を生きる上での大切な視点になるのではないでしょうか。
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