新型コロナウイルスの影響で急速に普及したテレワーク。かつては「通勤不要」「柔軟な働き方」の象徴とされ、ニューノーマルの一つとして定着するかのように思われました。
しかし、2023年以降、多くの企業でオフィス勤務への回帰が進みつつあります。
- 「出社は週3日以上」
- 「完全出社への移行」
- 「リモート勤務は一部限定」
こうした動きが徐々に強まっているのはなぜなのか?
本記事では、テレワークからオフィス勤務へと戻る企業の意図や、そのメリット・デメリット、働く人に求められるマインドセットの変化について考察します。
テレワークが広まった背景と一時的な成功
まず、テレワークの急速な普及はパンデミックという非常事態への対処でした。
- 感染防止のための外出制限
- 通勤電車や密なオフィスでの接触回避
- オンライン会議・クラウドツールの急速な整備
これにより、IT系をはじめ多くの業種で「意外と仕事は回る」という実感を得たのは事実です。一部では、生産性が向上したという調査結果もあり、従業員満足度やワークライフバランスの観点から、テレワーク継続を望む声も多く聞かれました。
オフィス勤務回帰が進む理由
ところが2023年以降、徐々にテレワークの見直しが始まっています。背景には、テレワークの課題が浮き彫りになってきたことがあります。
コミュニケーションの希薄化
SlackやZoomでは情報の「伝達」はできても、「共有」や「共感」は難しいという声が増えました。雑談や偶発的なやりとりから生まれる創造性や関係性の構築が失われていたのです。
若手社員の育成難
OJT(On the Job Training)や現場での学びが困難になり、新卒や若手が孤立するケースも出てきました。職場の空気や先輩の仕事ぶりを「肌で感じる」ことの価値が再認識されています。
組織カルチャーの維持
企業文化の浸透やエンゲージメント向上のためには、対面での一体感が欠かせないと考える経営者も少なくありません。
管理の難しさと人事評価の問題
テレワークでは「成果主義」が前提となりますが、業務内容や成果が可視化しづらい職種では、評価が困難になるケースもあるようです。
テレワークのメリット・デメリット
下記の表に、代表的なテレワークのメリットとデメリットをまとめました。デメリットとして、作業に適さない環境で長時間働くことで、体を壊す、みたいなことも最近よく聞きます。
メリット | デメリット |
---|---|
通勤時間の削減 | 孤独感・所属感の低下 |
地方在住者や育児中社員の雇用促進 | 若手育成・チーム連携の難化 |
生産性の向上(自己管理できる人に限る) | 情報漏洩などのセキュリティ課題 |
多様なライフスタイルとの両立 | 監督・評価制度の見直しが必要 |
オフィス回帰のメリット・デメリット
下記の表に、代表的なオフィス勤務のメリットとデメリットをまとめました。一時期テレワークへ移行していたため、テレワークに最適化するべくオフィスを引き払って狭くなっていたり、業務設備・機能が縮小されたままで、働きづらいケースも、あるかと思います。
メリット | デメリット |
---|---|
対面コミュニケーションで連携がスムーズ | 通勤負担の再発 |
即時フィードバックが可能 | 柔軟性の喪失(特に育児・介護者) |
チーム意識・文化の醸成 | 地方・遠方からの雇用が難しくなる |
OJTによる教育効果が高い | 話掛けられて作業に集中できない |
ハイブリッドワークという選択肢
多くの企業が現在採用しているのが、「ハイブリッドワーク」というスタイルです。週に数日は出社、残りはリモートという柔軟な働き方がイメージです。
これにより、対面のメリットを活かしながら、柔軟性も維持できるとされています。とはいえ、テレワークに慣れた私たちが、このハイブリッドワークの効果を感じ、成果を最大化するには、社員ひとりひとりの個人任せではなく、組織・チームレベルで以下のようなことを検討する必要があるでしょう。
- 出社の目的を明確にする(例:会議、1on1、プロジェクトキックオフなど)
- オフィスの在り方を見直す(テレワーク向けからオフィス勤務向けへ)
- デジタルとリアルの境界を意識したコミュニケーション設計
働き方は「目的」で選ぶ時代に
コロナ禍で「場所に縛られない働き方」が可能になった今、出社かテレワークかを一律で決める時代は終わりつつあります。重要なのは、「何のために働くのか」「どの環境が成果を出しやすいのか」という目的志向の視点だと思います。
- 集中したい仕事は自宅で
- 連携や意思疎通が必要な仕事はオフィスで
- 育成やマネジメントは対面重視で
まとめ:出社かテレワークか、ではなく最適なバランスを
テレワークからオフィス勤務への回帰には、企業側の合理的な理由があります。しかし一方で、働き手側が望む柔軟性やワークライフバランスの価値も無視できません。
今必要なのは、「出社 vs テレワーク」といった対立軸ではなく、目的に応じた最適なワークスタイルの模索です。変化の激しいこの時代、働き方は固定的なものではなく、常にアップデートされるものです。
企業も個人も、柔軟に適応していくことが求められています。
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